2018年4月1日日曜日

悲歌集、六度目の公演


 いやはや、皆様また長いこと更新をせずにおりましたこと、心よりおわび申し上げます。
 言い訳ではないのですが、じつは三月初旬にかなり重症の帯状疱疹を発症して、ひたすらその闘病に明け暮れておりました。ともかく痛みがひどいので、なかなか仕事もできず、当面の仕事はすべてキャンセルさせてもらって、楽しみにしていた句会も三月は休会とし、ひたすら養生の日々でした。
 おかげさまで、皮膚の症状はもう治りましたが、後遺症の神経の痛みがひどくて、この対策に追われています。とはいえ、いちおう元気になって、仕事はすべて再開しました。
 ただ、『(改訂新修)謹訳源氏物語』の文庫版の第六巻は、ほんとうは4月刊行の予定でしたが、この病気でままならず、一ヶ月延期して五月の刊行となりましたことを、お詫びかたがたお知らせいたします。
 さて、きのうは、武蔵小金井の宮地楽器ホール(小金井市民交流センター)大ホールにおいて、十年前に制作した演劇的組歌曲『悲歌集』(野平一郎作曲)が六回目の上演となりました。演奏メンバーは初演の津田ホール(本作はもともと津田ホールの委嘱作品)以来一貫して変わらず、テノール望月哲也、メゾソプラノ林美智子、ギター福田進一、フルート佐久間由美子、といずれ劣らぬヴィルトゥオーゾ揃い。なにしろこの曲は、演奏がきわめて難しい超絶技巧作品で、そうそう誰にでもできるというものではありません。その名手たちが、今回六回目とあって、習熟を重ねた結果、作品解釈もいよいよ深まり、演奏は見事ですこぶる聞き応えがあり、演奏会として大成功であったと思います。
 また特筆すべきことは、この宮地楽器ホールのきわめて優れた音響で、歌い手は楽々と響かせて歌うことができるため疲れず、ギターのような繊細な楽器も見事に響かせてくっきりと聞かせてくれます。フルートもソフトな響きを聞かせて余蘊なく、しかも歌の言葉は明瞭に聞き取れる、という恐らく声楽コンサート会場としては、日本屈指のホールであることを実感した一日でした。
 写真は、終演後同ホールにおいて撮影した記念写真で、左から、望月哲也、私、福田進一、野平一郎、林美智子、佐久間由美子と作者と演奏者の面々、そして右端はこの作品を最初に委嘱してくれた旧津田ホールの楠瀬壽賀子さん。