2017年2月23日木曜日
子規記念館講演と瀬戸内の海
先週の土曜日、18日に愛媛県松山市の子規記念博物館の招きで、松山まで講演に行ってきた。今回は、
『子規、私の読みかた』
と題して、正岡子規の夥しい俳句作品のなかから、主に「食べ物」をテーマとした句を選び出し、それらを軸として、子規の生涯と文学を論じることにしたのである。
じっさい、子規は、死ぬ直前まで、あの結核の脊髄カリエスのため身動きのできぬ重病の身でありながら、じつにおどろくほどの「食いしん坊」ぶりを発揮していたことは、『病床六尺』や『仰臥漫録』などを読めばわかる。同時に、彼はその苦しい病床にあって、驚異的な気力を以て著述を続けた事にも感銘を受ける。つまりは、食欲と著述は子規の活きていく二つの柱だったような気がする。
そんなことを中心として、彼の若いころからの作品を概観しながら、同級の夏目漱石との交友にも触れつつ、一時間半たっぷりとお話しをしてきた。記念館の講堂はおかげさまで満席の盛況で、はるばると講演に出向いた甲斐があったというものであった。
講演を終えた翌日、旧友の愛媛大学清水史教授の案内で近在の鹿島へ景色をながめに行った。良い天気で、瀬戸内海の景色が素晴らしかったが、風が強くていささか寒い日であった。また下の写真は、ご当地名物「鯛飯」のセット。このタレと玉子を熱いご飯に掛けて、そこへ鯛の刺身を和してざらざらと掻き込む。一種の漁師料理であろう。瀬戸内の鯛は、なるほど潮の流れが早く栄養豊かな海の恵みで、まことに結構であった。
2017年1月21日土曜日
ラムのミルク煮
そもそも私はラムという肉を愛すること、並々ならぬものがある。
純粋に「肉の旨味」という観点からすると、これは疑いなく、
ラム⇒豚⇒鶏⇒牛
という順序になるだろうと思うのである。
しかしながら、ラムは独特の匂いがあるので、苦手という人もあるかもしれない。この匂いも、私には「香り」という風に感じられて少しもイヤではないが、とはいえ、なにかこう新しい食べ方はないだろうかと、かねて思っていた。もともと、私はラムを食べる時は、ブラックソルトと黒胡椒だけで味をつけて、ソテーするだけの、シンプルな食べ方をもっとも佳しとするのだが・・・。
すると、きょう天啓のごとくひらめいた調理法がある。
「そうだ! 牛乳だ」
というので、私はこれをミルク煮という方法で煮てみたのが、この写真である。いやあ、われながら、これは頗るの上にもう一つ頗るがつくくらい美味しい。
作りかたは簡単で、フライパンにたっぷりのミルクを入れ、そこにラムの薄切りを入れてしばらくミルク茹でにする。
いっぽう、ほんとにこれはたっぷりの生姜を千切りにして置く。
さて、ラムに火が通ったら、一度ミルクから出して包丁で細く切って、こんどは生姜の千切りと一緒にその茹でていたミルクに戻し、味付けは、濃い口醤油、砂糖、そして鷹の爪の輪切り、と、これはちょうどスキヤキくらいの味付けにする。まあ、味加減が分からない人は、「スキヤキのタレ」でも買ってきて入れたら簡単かもしれぬ。
で、これをすっかり水分がなくなるまで、よくかき混ぜながら煮詰める。その結果が、上記の写真であるが、この風情から想像するとおり、牛乳の味はどこにも残っていなくて、ただほんわかとした旨味だけが残っている。そしてなぜか肉が柔らかく仕上がるのは不思議である。
嘘だと思うなら、どうぞお試しあれ。
2017年1月12日木曜日
新年の御挨拶
ややおくればせながら、あけましておめでとうございます。
この年末年始は、例によってひたすら仕事をしておりました。おかげさまで無事越年いたし、本も二冊つつがなく書き上げた次第です。
これから『謹訳源氏物語』の文庫化のための校正にとりかかりますが、その間もひっきりなしに原稿の締め切りやら、講演の準備やらが続くので、なかなか休む日がありません。
さるなかにも、毎日午後三時になると、お茶の時間となりますが、最近出色のお茶菓子として愛好しているのが、写真の、青木屋の「蒸かし酒まんじゅう」であります。これは多摩の銘酒沢の井の酒粕と清酒を加えて作られていて、これがじつによい香りがします。酒を使ってあるといっても充分蒸かしてあるので、アルコール分は完全に飛んでいて、私でも安全に、おいしくいただけます。アンコも上品、ふんわりと柔らかで、まことに結構しごく。だまっていると三つくらい食べたくなるので、一生懸命我慢をしているというところです。
ただしこのまんじゅうは正月限定で、今月末までしか販売されないので、せいぜい食べられるうちに食べようと思っているところであります。
2016年12月29日木曜日
鮪のハンバーグ
きょうは、久しぶりに早稲田の八幡鮨に行った。ちかく創業百五十年にもなるので、そのお祝いの会を企画して、第一回の幹事会をやってきたのである。
そのついでに、私のほうから特にお願いして、鮪の血合いを分けてもらってきた。血合いは刺し身にも鮨にもならないので、たいてい賄いのオカズにして食べるのだそうだが、栄養満点な鮪の血合いは、うまく料理すれば、美味しい材料でもある。以前に、一度これを竜田揚げにして美味しく食べたので、きょうは、まず骨などを取り除き、そのあと包丁でトントンとたたいてミンチにした。
そこへみじん切りのショウガ、全卵、玉ねぎのみじん切り、パン粉を混ぜてよく捏ね、さらに胡椒とウスターソース、それに西圓寺味噌を加えてさらに捏ね、小麦粉を付けてよくよく焼いてハンバーグに作ってみた。
これが魚肉であることは争われぬことながら、たしかにそれはそれで充分に美味しいハンバーグになった。この部位は、おそらくDHAやEPA、鉄分なども豊富に含まれているはずだから、これを食べて栄養をつけることにしよう。
八幡鮨さん、ありがとう。いただきます。
2016年12月26日月曜日
クリスマス・ディナー
今日はクリスマス。横田基地のすぐ近くに住んでいる娘の家で、クリスマスディナーを楽しんできた。娘婿はアメリカ人の牧師で、今娘一家はその教会のすぐ隣に住んでいるのである。
恒例の七面鳥は、昼食のクリスマス・ディナーで食べた。これは六キロほどの大きさのターキーを五時間あまりかけて焼き上げたというわけで、じつに美味しい。思うに、家禽類のなかでも、七面鳥ほどおいしい肉はないのではないかと、私は思うのである。味にじっくりと深みがあって、しかも肉質は淡泊で低脂肪、筋繊維はしっかりとして食べごたえがある。これは娘が焼いたものだが、とても美味しく焼けていた。私ども夫婦に、娘夫婦、それに三人の息子と一人の(生まれたばかりの)娘、と総勢八人でクリスマスを祝った。教会は敬虔なるバプティスト派ゆえ、飲酒は一切御法度とあって、乾杯もジュースであげ、みな素面でたのしくお喋りやプレゼントの披露やら、楽しく一日が過ぎる。
夕方のサパーには、チャック・ローストというアメリカ料理で、これは牛の肩肉の塊をクロック・ポットという低温調理鍋で半日ほども煮込んだもの。牛肉はほろほろになってまた独特の旨味がある。
きょうはそういうわけで、ついつい食べ過ぎて胃薬のお世話になった。ははは。
2016年12月19日月曜日
同窓会的・・・
きのう18日の午後、新宿の朝日カルチャーセンターで、『流露する人情、平家物語』と題した講演をしてきた。おかげさまで教室は満席で、補助イスが出たということであったが、みな和気靄々たる雰囲気のなか、私は講釈師よろしく合戦場やら、別れの愁嘆場やらの謹訳を朗読したり、平家物語の概説をしたり、できるだけ分かりやすくと心がけて話をしてきた。もうすこし若い人たちにも聞いて欲しいなあとは思うけれど、なかなか若い人にまではこの思いが伝わらないのは、歯がゆい思いがする。
この講座に、かつて慶應義塾女子高で教鞭を執っていた時分の教え子たちが集まってくれて、久しぶりの「リンボウの授業」を楽しんでくれた(彼女達は、リンボウ先生なんて敬称は付けやしないので、リンボウさんとか、リンボウと呼び捨てとか、まあそんなものであった)。みんなもう立派な「おとな」ではあるが、しかし、集まって話をすれば高校時代そのまま、心はいつまでも若いのである。この写真を撮ったあと、みんなでひさしぶりの同期会というか女子会というか、新宿の某料理屋で楽しい会食の一時を過ごした。教師冥利に尽きるというのは、こういう時である。
2016年12月13日火曜日
修道士スタイル
今年の師走はずいぶんと寒い。ラ・ニーニャの影響かもしれぬ。
しかし、仕事をするときは、部屋を温かくするのは、どうも好まぬ。だいいち眠くなるし、咽がからからになるからである。
大昔、受験時代には、真冬のさ中に窓を全開にして、凛冽たる冷気のなかで勉強していて、家人に嫌がられたものであったが、今も基本的にそういうスタイルは変らない。ただし、床暖房になってるので、足だけは温かい。
ところが首や肩が冷えると、それもこまるので、以前この日記に「勉強頭巾」というものを紹介したことがあったが、今は、さらにそれがパワーアップして、ご覧のような、むかしの修道士のような上着・・・というか、これは袖と頭巾のついたフリース毛布というべきものだが・・・を着て、ぬくぬくと勉強しているのである。
これはぜひ皆さんにもおすすめする。なにしろこれで暖房費が大幅に削減できるというものだから、エコそのものであるし。
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