2010年10月25日月曜日

新井りんご園の紅玉と日の丸皿

林檎の季節がやってきた。今年は夏の猛暑でどうだろうかと案じていたが、例年にも増して素晴らしい紅玉が贈られてきて、ほっと安堵の胸をなで下ろしているところである。今どきは、紅玉もだんだんと作られなくなってきて、まことに遺憾の極みである。なにしろ、私は林檎は紅玉と国光さえあればいいと思っているのである。とくにこの紅玉は、爽やかな酸味が強く、煮ても崩れず、しかも色が天下一品に美しい。通常リンゴは煮ると皮の赤味は褪せてしまうのだが、この紅玉は、完熟ものであることもあって、驚くほど色がしっかりしている。煮てもこれほどに美しい紅が目を打つのである。このリンゴは、信州伊那の新井りんご園というところで、新井学さんという篤農家(もとは学校の先生であった由)が丁寧に減農薬栽培し、葉摘みもせず、しかも十分に完熟してからの収穫をしたという逸品中の逸品で、今年のは、紅玉ながら蜜入りであった。もちろんそのまま齧ってみれば、嗚呼、なんというバランスの良さ。甘味と酸味が天来の美味という感じに凝(こご)っている。それを干しぶどうと白ワインを加えて煮たのが、この写真。パイに包めばアップルパイに適し、そのまま器に盛って食べるもよし、牛乳をかけてApple fool という趣向にしてもよし、チーズと一緒にパンにのせてもよし、これほどの美味はなかなかあるものでない。新井りんご園の連絡先は、
 0265-35-9256 (電話/ファックス兼用)
である。新井さんには未だ面晤を得ないが、昔の教え子のK君が、いつもこれを贈ってくれるのである。
 ちなみに、この林檎を載せてある皿は、「日の丸皿」といって、戦時中に作られた焼き物である。隠れて見えないけれど、真中に赤い日の丸が筆で手描きにしてある。なかなか古拙な味があって良いものである。