2008年9月6日土曜日
鞍馬天狗
九月三日に、逗子で能楽解説の講演をしてきた。
ちかぢかに柴田稔師の公演があるので、その前講義ということ
で、『鞍馬天狗』について話をしてきたのだが、熱心な聴衆で話し
やすかった。逗子はちょっと遠かったけれど・・・。
掲出の図は、『和漢朗詠集註』という江戸前期の刊本(家蔵)
で、これは漢詩句の註は永済、和歌の註は北村季吟の手になる。和
漢朗詠の注釈書のスタンダードというべき名著である。この部分
は、漢の高祖の臣、張良が黄石公から兵法の奥義『三略』を授かる
という伝説、有名な逸話であって、日本でも広く知られている。
『鞍馬天狗』は、鞍馬の大天狗が牛若丸に兵法の奥義を授ける話
で、この張良の伝説などがもとになっているものと見られ
る。・・・というような話をしてきたのであった。