ちょっと面白い仕事をしてきた。
7月13日、浜松交響楽団の演奏会に招かれて、ちょっとした司
会と、それから、セルゲイ・プロコフィエフの『ピーターと狼』の
ナレーションを担当したのである。もちろん、こういう形でのオケ
との共演などは生まれて初めてで、おおいに面食らったが、それで
も、楽しい仕事になった。いちばんの問題点は、オケ譜というもの
は(多くの方はごらんになったことがないかと思うけれど)、現在
何と何が演奏しているのかということで、スコアの段数がまちまち
なことである。テュッティといって、全員総合奏のときは、二十段
もあるかと思えば、ソロになっているところはたったの一段であっ
たりする。同じ四小節でも、二十段だったり一段だったり、三段
だったり八段だったり、とページによってまちまちなので、いまど
こを演奏しているのかを目で追うのは、慣れないと難しい。そうい
うなかで、たとえば二小節のなかに、これだけのテキストをナレー
ションしなくてはいけない、とかいうことになると、こんどはその
時間内に納まるように、うまくテキストを調整して合わせるように
書いて行くという作業もあり、なかなか見ているほど簡単ではな
い。しかし、何度か合わせて、何度かテキストを調整して、ようや
く合うようになり、本番はほとんど破綻なくぴったりと納まったの
は、ちょっとした快感だった。なにごとも挑戦して努力みれば、そ
れだけの価値はあるものである。そしてなによりの御褒美は、聴衆
の拍手喝采、である。(写真は、同時演奏のショパン、ピアノ協奏
曲第一番のリハーサル風景。指揮者は鈴木恵里奈君、ピアノ独奏は
石井園子君)