三田の慶應義塾図書館は、いまや銀杏の黄金の落ち葉のなかにあっ
た。きょうは、三田で開かれた、慶應義塾大学文学部の藝文学会に
招かれて、国文学の岩松研吉郎教授、英文学の高宮利行教授と、三
人で鼎談してきた。本来は学術的な会なのだが、あまり学術的にで
なくて、なにか談論風発的に、日本とイギリスと、書物と、スポー
ツ、といろいろなことにまたがる話しをしようという趣旨であっ
た。岩松さんは私が大学院のときの助手だった方で、もう今年で定
年になった。高宮さんとはイギリスで偶然にお目にかかって以来の
おつきあいで、お二人ともいかにも慶應ボーイという趣の瀟洒な紳
士である。慶應では、あまり向きになって学問の話しなどするのは
野暮天だというような、雰囲気がある。含羞の情というのだろう
か。所詮学問は遊びじゃないか、そんなに向きになるなよ、とでも
いうような気分。ひさしぶりに三田で、二人のよき先輩とともに、
イギリスのことを中心に語り合ってきた。よい一日であった。やっ
ぱり母校はいいなあ。写真の右側が高宮さん。