今日、次の新刊の見本刷りが、版元の檜書店から届いた。これは『能よ
古典よ!』という能についての本なのだが、今回は、私の最近の新
作能二曲の完全テキストも収載し、なおかつ、この写真の帯にある
ように、自分で装訂を担当した。漆のような黒カバー、帯は山吹
色、本体表紙は若草色、そして見返しは海老茶色、花裂れは縹色
(はなだいろ)、という思い切った色使いで、ちょうど能装束の重
ねの色が袖口からちらりと見えるような風情を演出した。これが平
積みになると、色の重ねが美しく見えるという狙いである。幸い
に、観世流の宗家観世清和師の推薦序文を忝なくした。まことにあ
りがたいことである。実は、この本の装訂にはもう一つ「仕掛け」
があるのだが、それはここには書かない。購入して下さったかただ
けが、あっと思ってくださるように、秘密にしておくのである。も
ともと、当流の雑誌たる『観世』に二年ほど連載したものに加筆
し、いくつかの書き下ろしを加えて出来た本であるが、あえて能の
写真は使わず、読み物としての性格を色濃くした。一般書店店頭に
は、新年早々くらいから配本される予定である。定価1900
円。ぜひご購読をこいねがうこと然り。