2008年12月19日金曜日

愛宕梨の風格

『徒然草』のなかに、友とするに良きものとして、「物くるる友」
というのがある。なにか良い物をくれる友人は、もつべきものだと
いうことである。さるほどに、きのう、大分の知友が、御当地の名
産たる「愛宕梨」というものを送ってくれた。梨はいまごろはもう
季節がずいぶんおそく、ほとんどの梨は終ってしまったが、そのこ
ろになって出てくる晩生のものには、新高などのように巨大なもの
が多い。この大分の愛宕もその尤物で、見よ、私の顔と同じくらい
の、堂々と壮大なる佇まいの梨である。これが、食べてみるとまこ
とに瑞々しくて果肉のきめ細やかなところが、ちょっと洋梨の雰囲
気も感じさせる。なにしろこの梨は、かなり大きな段ボール箱に
たった四つしか入らないほど大きいが、当たり前の梨の四つ分ほど
の量があるので、それで通常の梨十六個分に相当する。23日の水戸の
コンサートを目前にして、咽喉や気管支の特効薬的食餌たる梨を頂
戴したのは、まことにうれしい。