2008年8月30日土曜日

あるウォーターフロント

 Waterfront と言えばなにやら素敵に聞こえるけれど、要す
るに水辺という意味である。この写真は、北品川のあたりのウオー
ターフロントで、ちょうど、昔ながらの船着きが、次第に時代の最
先端のビジネスフロントに置き換わっていく、その過渡期の風景を
見せている。思えば、私どもが大学生のころには、浜松町なんかは
(貿易センタービルなどは例外として)そこらじゅう古いお寺だと
か、黒ずんだ木造の船宿だとか、煉瓦作りの倉庫なんかが並び、
ひっそりとした「東京の田舎」だったものだった。三田の慶應大学
まで通う山手線電車の窓からは、まだ海の一部が見え、和船の漁船
が舫ってあったりしたが、それも今は昔のこととなった。ただ、こ
の風景のなかにも、屋形船がちょっと写っているのが、その頃の名
残というところである。このあたりにはしかし、戦前から続く素敵
な路地の住宅地なんかも僅かながら残っている。そういうのをすっ
かり滅ぼしてしまわないほうが、東京という町の文化的価値の上で
は望ましいのであるが・・・。